ガーデン ご紹介

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英国王立園芸協会 ローズムーア   RHS Rosemoor
               2012年6月10日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

王立園芸協会(The Royal Horticultural Society RHS)は園芸を愛する人々に奉仕することを目的とした公益法人で、1804年の設立だ。 総裁はエリザベス女王が務められ、世界の会員は約37万人で、会員に様々な情報を発信し、 園芸の普及と発展のための活動をしている。 ナショナルトラスト(The National Trust NT)、 ナショナルガーデンスキム(National Garden Scheme NGS) と共に英国のガーデニング文化を支える組織だ。 さすがに”庭師の国”、”ガーデニングの本場”イギリスだ。(マイサイトの中で過去2回同じことを記述した)
RHSは、ここの他にウィズリー(Wisley サリー州)、ハイド・ホール(Hyde Hall エセックス州)、 ハーロウ・カー(Harlow Carr ノース・ヨークシャー州)と3つのガーデンを所有し、公開している。ローズムーアは3回目。ハーロウ・カーは2回、 ウィズリーは1回訪れている。ハイド・ホールはまだ未訪問だが、近い内に訪れたいと念じている。
RHSは最も有名なフラワー・ショーのチェルシー・フラワー・ショー(Chelsea Flower Show)を始め幾つものフラワー・ショーを開催している。
また、ブリテン・イン・ブルーム(Britain in Bloom)という自治体単位の園芸キャンペーンでいわゆる花の街・村コンテストだ。 自治体は規模別に"Village"、"Town"、"City"のそれぞれ大・中・小3部門他、計12部門に分けて審査・表彰している。等々、多彩な活動をしているのだ。

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ローズムーアに到着したが、恨めしくも雨脚は衰えることもなく降り続いている。意を決して入場する。さすがにRHS、この雨でも入場者はそこそこ見られる。 ハウスのテラスの下の通路の脇は長いボーダーが走る。潅木と宿根草の厚い植栽だ(写真上左)。

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ローズムーアには2つのローズガーデンがある。"Queen Mother's Rose Garden"と"Shrub Rose Garden"だ。 デビッド・オースチン(David Austin Roses)の200種類・2000本のバラが植栽されているという。
ガーデンマップの順路に従い、Queen Mother's Rose Gardenに入る。イチイのヘッジで囲まれた方形のルーム・ガーデンだ。 バラは5分咲きといったところか、それなりに咲いているが、今一つ華やかさがない。木バラの株が若く厚みに欠けるからだろう。新苗を植え込んだばかりの部分もある。 ホームページによれば、真菌に感染し枯れてしまったようだ。そういえば、ヘッジの柘植も黄色くなり始めていた(10月には枯死してしまったようだ)。
ところで、RHSの4つのガーデンにはそれぞれの名を冠したバラがあることをご存知だろうか? いずれもデビッド・オースチン(David Austin Roses)の作出で、 2004年にRHSの創設200周年を記念して作られたものだ。順に紹介しよう。写真はデビッド・オースチンのHPから拝借した。 最初はローズムーア(写真右)。可愛い花だ。陽だまりに迎えたいバラだ。

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Queen Mother'sの南に"Model Garden"がある。RHSのガーデンは全てが園芸愛好家へのモデルであり、提案なのだが、ここでは "Town Garden"、"Terraced Garden"、"Shade Garden"の小さなモデルが見られる(写真上左)。

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"Winter Garden"を通り、Queen Mother'sの西隣のルームのスパイラル・ガーデン(Spiral Garden)に入る。柘植のヘッジで通路が螺旋状に仕切られ、 そこここにベンチが置いてある(写真上左から2枚目)。植栽は柔らかなパステルカラーで心休まる。ここでも真菌による被害が出ている。 写真の中央右手の半円形のベッドは柘植のヘッジだったはずだ。用土毎そっくり掘り起こされ、今は苗木が植栽されている。
その北側のルームは"Hot Garden"だ(写真上右から2枚目)。こちらの通路は方形(Square)で、植栽は珍しい植物が沢山あり、色彩はホットだ。 全てがスパイラル・ガーデンとは対照的だ。
200周年のバラ2つ目はウィズリーだ。ただし、04年作出のウィズリーは花が下を向いて咲くため改良され、2008年に発表されたもので、 ”ウィズリー2008”と区別されている(写真右)。美しい花だ。これも陽だまりに迎えたい。
04年のウィズリーが陽だまりに2本あるのだが、確かに下向きで撮影には苦労する。あれこれ細工して撮影した写真は拡大写真からご覧あれ。

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その東側のルームが"Shrub Rose Garden"だ(写真上下、各4枚)。ここのバラは今、正に満開だ。雨は相変わらず降り続いている。ゴアテックスを着ていても暑くはない。 旅行記を振り返ると、2004年には今日と同じ6月10日、09年は6月5日に訪れているが、いずれも半袖姿だ。何という差だろうか。
素敵なフォルムのオベリスクにバラとクレマチスがコラボしてため息の出るような美しさだ。こんなものを見せつけられるとガーデニングの奥の深さを 改めて思い知る。足元は悪いが、2回り彷徨う。
ローズムーアはアン夫人(Lady Anne Palmer)が30年掛けて南アフリカ、パプアニューギニア、ニュージーランド、米国、日本 などから集めた4000本の植物を含む3.2ヘクタールのガーデンと13ヘクタールの牧場を1988年にRHSに寄付したことに始まる。 1990年には一般公開され、その後も開発が続き、現在では26ヘクタールの敷地にローズガーデンを始めとする"Formal Room"形式のガーデンと より"Natural"な部分が展開し、およそ1万種の植物があるという。 200周年のバラ3つ目はハーロウ・カーだ(写真右)。

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ローズガーデンだが、数々の宿根草との組み合わせが絶妙だ。背丈も実に良くマッチしている。青色のゲラニウムやオダマキが印象的だ。

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シュラブ・ローズガーデンの北のルームが"Herb, Potager and Cottage Gardens"だ(写真上4枚、下左2枚)。 これぞ19世紀末に生まれたイングリッシュ・ガーデン、すなわちコテージ・ガーデンの見事なお手本といえよう。
拙文”英国ガーデンは楽しい”でも述べたが、 19世紀末になると世紀中頃に流行した華やかなガードネスク・ガーデンに対する反省が出始め、より自然なイギリス古来の草花や素朴な田舎家を取り入れた コテージ・ガーデンが生まれてきた。アーツ・アンド・クラフツ運動の台頭とも無縁ではないだろう。
ガーデンの名前が全てを表している。ハーブがありポタジェがある。キッチン・ガーデンとは一味違う。野菜の植栽もより装飾的であり、 支柱なども鑑賞性が高い。厚みと立体感が感じられる。そして肝心のコテージは藁葺きの素朴な雰囲気を醸しだす。ただうっとりするばかりだ。
200周年のバラ4つ目はガーデンもバラもまだ見ぬハイド・ホールだ(写真右)。
写真下右はシュラブ・ローズガーデンのサンダイアル。年の前半は上部のスケールで、後半は下のスケールで時間を計るという変り種の日時計だ。
ショップで花の種を物色、4種類の種を求める。1袋£2.99、約400円だ。値段は日本と変わらないが、量が違うからこちらがお買い得だ。 ただ、日本の気候で発芽する保証はない。友人へのスカーフも求める。

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Information
 Address  Great Torrington, Devon EX38 8PH
 Telephone  0845 265 8072
 Web Site  RHS Rosemoor

オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。

「旅行記」もご覧ください。

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